

1 ヒノキひも
- ヒノキひもとは,ヒノキを紙のようにうすく削って,ひもにしたものです。
- 高級なお肉やおまんじゅうを薄板で包むときヒノキひもが使われます。
- ヒノキひもは,短いもので55cm,長いもので1m10cmあります。
- 40年前,100人ほどの人がヒノキを削っていました。現在は,10人足らずの人に減ってしまいました。
- 最近,ヒノキひもが売れなくなってきたので,見学に行ったところでも冬の間だけ作っているそうです。
2 ヒノキひもの作り方
- 動画1から動画3までがヒノキを削っている様子です。このとき,ラジオを聞きながら仕事をしていました。
- 動画4は,削っている様子をアップで撮りました。ヒノキを削る音も記録できました。
動画1 動画2 動画 3 動画4
- 下の写真のように削ったものをそろえて束にしていきます。
- 削ったものを束にするまでの様子です。<動画5〜動画8>
動画5 動画6 動画7 動画8
- わたし達もヒノキを削ってみました。思ったより力が必要なこと,削ったものがひもように長くなりにくいことなどが分かりました。
- おじさんが削った後のヒノキに触ると,つるつるして気持ちよかったです。
ヒノキ削り・体験/動画データ
2 材料のヒノキについて
- 材料にヒノキがよい理由は,他の木より強く,節(ふし)が少ないからです。
- 材料は,奈良県吉野のヒノキを使っています。奈良県桜井市には,たくさんの製材所があるので,ここへ材料を買いに行きます。
- ヒノキの芯のところは,家の柱などに使われます。ヒノキひも作りには,芯をとった残りの部分(「こわ」というそうです)が使われます。
- 梅雨(つゆ)のとき,切り出されたヒノキは,虫が入っているのでよくないです。秋から冬の間に切ったヒノキが,いいそうです。
- 最近,質のよいヒノキが少なくなってきています。昔3軒あった仕入れ先の製材所が,材木が売れないので,今では1軒になってしまいました。
- 昔,材料のヒノキがたくさんあったときは,質のよいヒノキを選んで買うことができました。今は,材料が少ないので選んで買うことができません。場合によっては,ほんとんど使い物にならない材料ばかりのときもあるそうです。
- 油気のあるヒノキが削りやすく,スギのような材料は削りにくいそうです。
- 1m10cmのヒノキ板2枚で大きな束(「いちまる」と言って約3000本のヒノキひも)が1つ作れるそうです。
3 ヒノキひも作りの苦労と工夫
(1)苦労
- 1日にヒノキひもを1万本くらい,大きな束(「いちまる」というそうです)で3つ4つも作ります。ですからヒノキを鉋(かんな)で1万回削ることになります。仕事場にストーブを入れる冬でも,半そでで仕事をしないといけないくらい汗をかくそうです。冬,農業ができないとき,ヒノキひもを作っておくそうです。
- ヒノキひもを作るときは,1人が鉋(かんな)で削って,もう1人がひもをたばねていきます。
- 材料であるヒノキによって,削り具合が違うそうです。調子のいいときは,10束(500本)つづけて削れます。そうでないときは,1束(50本)しか削れないそうです。
- 40年ぐらい前まではヒノキひもはよく売れましたが,ビニル製品やゴム製品に押されてだんだん売れなくってきています。
- ヒノキひも作りの後継者がいません。
(2)工夫・・・鉋(かんな)の秘密
- 大工さんが使う鉋(かんな)には,刃が2枚あります。これは,節などを削るときに刃を押さえるためにもう1枚小さい刃があります。しかし,ヒノキひもに使う材料には,節のないところを使うので,刃は1枚だけいいのです。そして,刃が1枚だと軽くて仕事がしやすいです。
- 大工さんが使う鉋(かんな)との違いが,もう1つあります。刃の傾きが違うのです。ヒノキひも作りに使う鉋(かんな)の方が,傾きがゆるいのです。大工さんの鉋(かんな)が8分でヒノキひも作りの鉋(かんな)は,6分だそうです。刃の傾きがゆるいと,削ったものがまっすぐ出てきます。大工さんの鉋(かんな)では,削るとくるくる巻きながら出てきます。
- ヒノキひも作りに使う鉋(かんな)は,刃と台を別々に買ってきます。自分に使いやすいように刃を台にはめていきます。調子良く削れるように調整するには,半日もかかるそうです。この仕事は難しいので,自分で鉋(かんな)を用意できない人もいるそうです。
- ヒノキひも作りに使う鉋(かんな)は,刃と台とセットで1万5000円もするそうです。刃は,3ヶ月も使うと半分ぐらいまでに減ってしまいます。また,鉋(かんな)の台もすりへってきます。こうなると,新しい鉋(かんな)に交換しなければなりません。
- ヒノキを機械で削っているところもありますが,削り具合の調整がたいへん難しいそうです。また,機械で削ると,細かい調整ができないので,手で削ったものより弱いそうです。やはり,手先の細かい感覚が必要なようです。
ヒノキひも作り用の鉋(かんな):左&中,大工さんが使う鉋(かんな):右
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4 ヒノキひもの良さ・・・環境問題と関連して
1学期,「ひも」についてホームぺージを調べていると,「野鳥を守る会」のページを見つけました。そのページのはじめに「何気なく捨てられた釣り糸やビニール紐,タコ糸などがからまって,傷ついたり死んだりする野鳥が絶えません。」と書いていました。
くちばしに絡むおもりの写真/釣り糸に絞められて脚を失った写真
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環境にやさしい「紙ひも」というのがありました。説明には,「完全リサイクル古紙100%使用新聞紙梱(こんぽう)包用」とありました。つまり,紙を利用したひもですが,新聞紙や雑誌などをとかして作り直した古紙(こし)を使っているようです。これだと,紙を作るために木を切らずにすむのでいいなあと思いました。また,ビニルひものようにすべらないので,読み終わった新聞をくくるのに便利そうです。そして,ひもも紙でできているのでゴミとして出すときそのままリサイクルできます。最近は,環境問題が大切だなと思いました。
富貴には,下の写真にあるように「薄板」(うすいた)があります。この薄板もビニル製品に押されて売り上げが落ち込んでいましたが,最近,環境問題が注目されきてたので,売り上げが伸びてきているそうです。ヒノキひもは,おまんじゅうやお肉を薄板で包んだとき,結ぶのに使われます。だから,薄板が再び注目されているので,ヒノキひもも同じだろうなと思っていました。しかし,ヒノキひもの売り上げは,だんだん減ってきているそうです。予想外の結果だったのでびっくりしました。
ヒノキひもの材料も少なくなり,ヒノキを削るのも体力的にきついけれど,この仕事をがんばって続けているのは,すごいと思いました。
ヒノキひもの存在がだんだん薄らいできています。このままヒノキひもがなくなるのは,やはり悲しいことです。私たちは,この調べ学習でヒノキひものいいところをたくさん知ったので,もっと多くの人に知ってもらい,薄板のように評判が上がってきたらうれしいです。
ヒノキひものいいところは,環境を守ってくれるところです。ヒノキひもを燃やしても有害な物は出ません。もし,ヒノキひもがなくなると,輪ゴムやビニルひもが多くなって環境をこわしてしまいます。
これからヒノキひもを守っていくには,次の2つが必要だと思いました。
ひとつは,材料のヒノキなどをふやすためにもゴミなどの環境問題に目を向けることと,山や道などにゴミをたくさん捨てているけれど,これからは捨てないようにしたりゴミを拾ったりすることです。
もうひとつは,若い人にヒノキひも作りの技術を伝えていくことが大切だと思います。そして,後継者を増やしていきたいです。
富貴にある伝統的手作り工業製品に,薄板(うすいた)があります。原料は,赤松と黒松です。それ以外は,使えません。なぜかというとほかの木には,ふしがたくさんバラバラに関係なくあるので使えません。でも,松の木には,ふしがある所が決まっているのでそこだけを切りおとせるのでとても便利です。次に使われ方を説明します。昔,うす板でおにぎりを包んでいたそうです。今は,肉やなっとうを包んでいます。それにおまんじゅうの底にしかれています。
下の写真が例です。
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